名画「天国と地獄」(黒澤明監督)からの教訓
- rpa696
- 2023年9月19日
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木原事件の警察やマスコミの体たらくを巡り、筆者が尊敬する元朝日新聞の佐藤章氏が、彼らを正すべく涙ながらに推薦された、黒澤明監督の「天国と地獄」(https://tower.jp/item/3743196)を早速DVDを購入し、何度も鑑賞しました。舞台は大手靴会社のたたき上げ常務の幼い息子と間違って、運転手の息子が誘拐され身代金を要求された事件で、それを巡る常務・運転手・警察・犯人の人間ドラマです。 筆者が改めて気づかされたのは、映画の舞台の1960年初頭と現在の社会背景の差です。当時は新幹線開業前であり、東海道本線を走行していた特急こだま号に列車電話はあったものの、東京・名古屋・大阪からしか発信することができず、通信確立するまでは、発信側は電話を切って国鉄からの連絡を待たなければなりませんでした。市外通話も常務の住所の横浜市内に直接発信することが出来たのは、周辺の市町村だけ。当然携帯電話出現前であったことから、脅迫電話は公衆電話発信という技術背景でした。加えて映像は8mmビデオのみです。 これら不十分な証拠から犯人逮捕・極刑に辿り着けたのは、プロ意識に裏打ちされた、警察官一人ひとりの信念でした。 翻って現在の技術はどうでしょうか。インターネットを中心として、PCやスマートフォンで、映像音声を簡単に保存でき、GPSで居場所もすぐに判明できます。仮に現代に映画の様な誘拐事件が発生したとすると、警察は映像音声分析が高度に実施できたり、街中の管理カメラの録画を使って犯人に結び付く証拠を収集できる一方、犯人側も警察の裏をかくことができるかも知れないのです。 結局最後は当事者一人ひとりの意志や執念です。一見技術が発展した様に思える現代だからこそ、一人ひとりの意志が問われていることを再認識いたしました。

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