大型計算機メーカー系IT企業の長年に渡る宿痾
- rpa696
- 2023年6月14日
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IT業界では未だに人月商売のSIerが問題となっていますが、それと同様にかつての大型計算機メーカー傘下のIT企業にも、残念ながら同様の図式が未だに存在しています。これらIT企業の事業は、長年に渡って大型計算機の販売促進の一つとして、「おまけ」的な扱いをされ、主体的な事業展開が困難であったことに加え、親会社子会社の力関係から発言権を制限されていたことも影響していました。それに加えてSIerの人月商売の悪影響です。主体的に事業展開すること等、土台無理だったのです。引用記事は富士通の例ですが、「世界的に通用するブランドとポジションを築いていながら、経営者がグローバルの数字を経営の意思決定に繋がる形でタイムリーに把握することができておらず、グループ会社のガバナンスもほとんど利いていないという印象を持ったという。」なのです。この意識はIT企業の経営者のみならず従業員にも広がっていたのです。さらに引用記事によると、「会社を変革することに対して、実は抵抗勢力らしき存在がいませんでした。みんなが変革には賛成する一方で、会社に対するエンゲージメントが非常に低く、何のために富士通にいるのか、何のために仕事をしているのかを考えているように見える社員が少なかったのです」従業員の意識も「上司に言われて仕事をしている」「残業代がつかなくなるので、幹部社員になりたくない」「他の部署が何をやっているのかが見えない」(引用記事)改革への抵抗感はないものの、無関心なのです。無関心は、組織運営にとって最悪です。「残業代がつかなくなるので、幹部社員になりたくない」とは何という志の低さです。自分の思い入れ通りに組織を運営して、事業に貢献するという考えはないのでしょうか?そもそも管理職になれば、残業代はつかないものの、賞与では圧倒的な差がつき、年収ベースでは上がるのです。ハードウェアの性能で、米国IBMと熾烈な競争を繰り広げてきた我が国のコンピュータ産業の「ソフトウェアはおまけ」「言われたことだけ達成すれば良い」という、隠れた欠点が固定化されてしまったのです。 この様な意識から脱することが出来ない限り、大型計算機メーカー発のDXは期待できないのかもしれません。

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